みなさまこんにちは、あべです。
本日は『結露』についてのお話をちょっと。
毎年この時期は住まいの結露でお悩みの方もたくさんいらっしゃるかと思います。
ファンヒーターに洗濯物の室内干しなどなど、
なんとなく原因になるものはわかるものの、
なかなか改善できないのが悩みどころです。
対策を打つにはまず敵を知る、ということで、そもそもなぜ結露が起こるかを
物理学的にちょっと掘り下げてみることにします。
以前よそのブログでも書いたことがあるのですが、
結露を知るためには大事なんでここでもまた書きます。
まず、空気には「水の粒(水蒸気)」をしまっておける「部屋」があると考えます。
「水の粒」をしまう「部屋」といってもピンとこないかもしれませんが、
たとえば、やかんやお鍋から湯気が上がっている場面を思い起こしてみましょう。
モクモクと上がった湯気は、ちょっとすると消えてなくなってしまいますが、
これは湯気というごくごく細かい水滴(液体)が、
蒸発して水蒸気(気体)となり、見えなくなってしまうからです。
つまり、空気の中の「部屋」に「水の粒」がしまわれたといえるわけですね。
なんとなくイメージをつかんでいただけましたでしょうか?
ということで頭の準備体操はこれで終わりです。
ここから本題。
数字とか理科はキライという方はどうぞスルーしてください。
それでも結露を少しでも理解しときたいという方は
いましばらくお付き合いお願いします。
まず、上で書いた空気の「部屋」は気温(室温)が高くなるほど数が増える性質がありまして、
より多くの水の粒をしまうことができるようになるわけです。
簡単に考えるため、気温20℃の空気には100室の「部屋」があるとして、
ここに50個の水の粒がしまわれている状態が湿度50%ということです。
管理会社らしく例えるなら、100室のマンションに50人のご入居者様が
いらっしゃる状態、入居率50%と同じようなことです。
マンションでこんな入居率だったら青ざめてしまいますが、
湿度ならまずまず適正な範囲です。
で、この空気が気温30℃になったとすると、「部屋」はおよそ175室になります。
そこに50個の水の粒がしまわれているわけですから、
50個 ÷ 175室 ≒ 29%
おー、湿度が下がりました。
そうです、わたしたちが一般的に言う湿度とは、
温度によって変わる相対的なものなのです。
ですので、正確には「相対湿度」と呼ばれます。
ちなみに、温度に関係なく、空気に含まれている水蒸気そのものの
重量を示したものを「絶対湿度」というのですが、今回こっちには触れません。
逆に、気温が10℃まで下がると「部屋」は54室くらいに減っちゃいます。
上と同じ計算をすると、湿度は93%!
今度は一気に(相対)湿度が上がりましたね。
繰り返しますがこの「湿度」は相対的なものなので、
空気に含まれている水蒸気の量自体は変わらないわけです。
ではさらに、気温が5℃になったとするとどうでしょうか。
部屋は39室しかなくなってしまいます。
また同じ計算をすると、
50個 ÷ 39室 ≒ 湿度128%!?
100%以上はありえませんから、この100%を超えた28%にあたる
水の粒11個が部屋からはみ出てしまうわけですね。
もうおわかりだと思います。
そう、これが結露です。
結露とは、空気の「部屋」の中にしまいきれなくなった水蒸気が、
水となって現れることなんですね。
物理学的に言うと、
表面温度の低い(露点温度より低い)物体に空気が触れることで、
飽和水蒸気量を上回った空気中の水蒸気が水に変わる、
といったところでしょうか。
これを頭に入れて、住まいでの結露を考えてみます。
冬は暖房で家の中の空気は暖かくなっていますが、外気によって冷やされている
窓や外壁などは比較的温度が低いわけです。
そこに触れた空気が冷やされることで空気の「部屋」が少なくなり、
はみ出た水の粒が見えてしまうわけですね。
で、冬場のイチバンの問題は、窓を閉め切って暖房、炊事、室内干しなどを
するため、空気の「部屋」に限りがあるにも関わらず、
「水の粒」が増えすぎてしまうことです。
ですから、窓や壁でちょっと温度が下がると簡単に「部屋」からはみ出ちゃうわけです。
そこで、対策は、
@『窓・壁の表面温度を上げる』
A『増えた水の粒を外に出す』
@については、2重サッシやペアガラスなど窓の仕様、
壁内の断熱材の程度など、建物自体の断熱性能によるハード面の問題なので、
残念ながら簡単に改善できるところではないですが、
窓に結露防止シートを貼ったりするのはこっちの対策ですね。
ということでより効果的な打つべき手はAの方です。
対策法に入りたいところですが、だいぶ長くなってきたので、
ここからは次回の出番にしようと思います。
では明日のブログはこいけ先輩にお願いします。
